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イッキはよほど暑いのか、冷蔵庫に顔を突っ込んで深呼吸をしだした。太り気味のイッキの背中は汗で濡れている。
「イッキ、俺のもよろしく。氷入りで」
僕は、そう言い置いてから、僕は1階に降りた。
そして父の部屋とされている和室にそっと入った。
押入れの中は父が飽きて、もう使わなくなった物が詰め込まれているのだ。
中を覗くと思った通り、大きくて重量感のあるポリエステルキャンバスの専用バッグがホコリを被っていた。
(あった、あった。ちょっとお借りしまーす)
僕はそのバッグを取り出した。
そして、押入れのふすまを静かに閉めてから、和室を抜け出した。
2階のリビングに戻ると、二人はダイニングテーブルでコーラを飲みながら涼んでいた。
「のっぽん、今日はいったいなんだよ。早くファミスタやろうぜ」
「その前に、これを見てくれ」
僕はさっきのバッグをテーブルの上にドンと置いた。
「なんだよこれ?」
明らかに、イッキは興味のない様子だ。
「これはな……ジャーン!」
バッグを開ける。
「これって、もしかして」
タツは中学の時からオーディオ情報誌を愛読しているマニアだ。
「そう、SONY Hi8ビデオカメラ だよ」
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