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「ん? なんとなく。卒業したらみんなバラバラになるからさ……」
「昔からのっぽんは、いつも私達よりずっと先を見てるもんね。いいじゃん。やってみようよ」
「ミッコ。そうは言っても、私達も映っちゃうんでしょう?」
この中で、一番容姿に恵まれているユリが、恥ずかしそうに言った。
「実は何を撮るかは、もう決めてあるんだ。主演は俺たち5人。テーマは、未来の自分へのメッセージ」
「なんだそりゃ」
誰ともなく呟きが聞こえた。
「タイムカプセルみたいなもんだよ。今の俺たちが30年後自分に話しかけるのさ。そして30年後にまた集まって、その問いに答える俺たちをビデオに収めるんだ。それで映画が完結さ。すごいだろ」
「30年後って言ったら、47歳じゃん。信じられない。どうするユリ? 私おばさんだよ」
「大丈夫だよミッコ。私もおばさんだから」
「ユリは歳をとっても綺麗だよ。きっと」
「まぁまぁ、撮影は次の土曜日の夜。俺たちの通った小学校の校庭で撮影するから」
「よく分からないけど、やってみるか」
何はともあれ、このプロジェクトに反対する者は誰一人として居なかった。
そしてこの日は、その話で夜まで盛り上がった。
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