夏が来た

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 その時は30年後なんて、想像もつかない位、果てしなく遠い未来のように思えた……        ◇      撮影は、後日夜の10時から行われた。  月明かりの綺麗な夜ではあったが、蒸し暑く、虫の声が煩い夜だった。    僕は、校門に自転車を止めて、辺りを見回した。  遠くからはしゃぐ声が聞こえる。  早めに着いたのに、校庭にはもう他の4人が集まってるようだった。  僕は歩を早めた。  彼らは校庭のプール内に居た。花火をしているのがここからでも分かった。  (どうりで……)僕はすぐさま、ビデオを出して、その様子を録画した。    「遅いよ! のっぼん」  タツが吹き出る花火を持ったまま振り回す。    「時間通りだよ。それより、どこから入ったんだよ。見つかったらやばいぞ」    「フェンスをよじ登ったに決まってるじゃん。のっぽんも来いって。ここなら絶対に火事にはならないだろ」    「そうだけどさあ……」  僕は渋々といった感じで、フェンスをよじ登り、プール内に降り立った。  小学生の時はあんなに広く感じたプールがとても小さく感じた。      撮影は僕がインタビュアーとなって、一人ずつ対象者に話しかける形式で行った。    最初はイッキから始まった。    次がユリ。    その次がミッコ。    そしてタツ。       
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