魔族の寵愛

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「ふむ…。今宵は明るくしてみるか、お前の体がよく見えるように」 呟いたと同時に部屋のランプがいっせいに灯った。 長い黒髪がランプの光を弾いてさらさらと流れ落ち、ラファエルの体にさらりとかかる。 その髪が触れた感触にも体は敏感に反応して、ラファエルは背筋を震わせた。 「やめて、消してください」 見られることに羞恥を覚えて、ラファエルは身を縮こまらせた。 こんな姿を明るいランプの下にさらすなんて…。 「何を恥ずかしがる? すでに何度も交わったのに」 口づけられそうになり、ラファエルはあわてて顔をそらした。 魔族の体液は人間に対して催淫効果を持っているらしい。 そのことに気がついてからは、ついそんな反応をしてしまう。 ラファエルの小さな抵抗を、彼はふっと口元だけで笑い飛ばした。 「無駄なことを」 きらめく光彩の紅い瞳に見つめられると抵抗する気がなくなり、ラファエルは素直に舌を差しだした。絡めあってお互いに吸い合うと、じんとした熱さがそこから体じゅうに広がる。 「お前のような、きれいな心の持ち主の生気はことのほかうまい」 満足げに呟いて、魔族は深い深い口づけをラファエルに施す。 今夜も長い夜になるだろう。 ラファエルは震える体を弄ばれることしかできないのだ。
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