魔族の寵愛

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彼はゆったりと脚を組み、ラファエルが苦しげにベッドの上で熱い体を持て余しているのを、機嫌よく眺めている。 とうとうラファエルは泣きながら哀願した。 まだ16歳の未熟な体に魔族のあまい淫らな毒はあまりにも強く、これ以上意地を張るのは無理だった。 「して、ください」 「何を?」 ひどく優しい声で、意地悪く問い返される。 ラファエルの望みなど百も承知で尋ねてくるのが憎らしい。 「…あなたが欲しいです」 「ほう…」 優雅にワインを飲み干して、魔族はラファエルの泣き顔を見下ろした。 「かわいいな、お前は」 尖った爪の先が頬に触れて、それだけで全身に震えが走る。 「もっときちんと言ってみろ」 「…抱いて、欲しいんです」 「どんなふうに?」 「お願いです。我慢、できない…」 力なく首を振って、うなだれる。 こんなのは、赦されないことなのに…。
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