魔族の寵愛

7/14
608人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
けれども、兄は確かに元気になりつつある。 それだけが救いだった。 最近は食事も軟らかく煮たスープやパンなら食べるし、起き上がって座ることもできるようになった。自分が魔族に従っている限り、このまま回復するのだろう。 跡取りである兄が元気になれば、それは本当に嬉しく、両親のためにもそして領民のためにも安心できることだ…。 その思いだけで、ラファエルは今の状況に耐えているのだった。 「あ、あぁ、もう、許して…」 泣きながら懇願しても魔族は楽しげな笑みを見せるだけで、ラファエルのお願いなど当然聞いてはくれない。 「どうした?」 「熱い…。おかし、く、なる…」 体の奥が疼いて、魔族を欲しがっているのがわかる。 自分がこんなに淫らだなんて信じたくない。 でもこの熱を放出したくて、自然に体は揺れ、愛撫をねだる。 あさましくてそんな自分は嫌なのに、どうしても抑えられない。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!