魔族の寵愛

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「どこが熱い?」 「……中、中が、熱くて…」 意地悪な問いかけに、必死で答える。 きゅっと乳首をつねられて、びくっと体が跳ねた。 さっきからずっと胸から脇腹あたりをいたずらに舐めたり触ったりしているだけで、魔族はそれ以上のことはしてこない。 何度も舐めて吸いつかれた乳首はつんと尖って、じんじんと熱を持っている。 そこから広がった熱で、もう全身がほてっていた。 「望みがあれば口に出せ。魔族には人の気持ちなどわからぬぞ」 何もかも見透かした紅い眼で、彼がいっそう優しい声で唆す。 「何も、ない、です」 途切れ途切れに意地で答えたが、それにも魔族は楽しげに笑うだけだ。 「そうか。何もなかったか」 するりとラファエルの体から手を引いて、起き上がる。 手をひらりと返したと思ったらその手にはワイングラスがあり、ベッドに腰掛けた状態で優雅にワインを飲むさまは絵画に出てきそうなほど美しかった。 魔族がワインを楽しんでいる間にも、ラファエルの体はさっきの口づけの影響で徐々に熱くなり、体の奥から疼いて仕方がない。 おさめる方法は一つしかないことは、この3ヵ月で学んだ。 どんなに抵抗しようとしても、魔族の誘惑には勝てないのだ。
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