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私の名前は『神崎 沙織』、会社の水泳部に所属する24歳の水泳選手で、オリンピック女子100m自由形と200m自由形で金メダルを手にしていた。
このことをとても喜んでくれたのは父だった。
でも、この日から私の人生は大きく変わってしまった。
オリンピックを終えて日本に帰ると、女子自由形では日本初の金メダルということもあり、マスコミからの取材攻勢や日本の多くのファンから注目を浴びた。
私は時の人となって、オリンピックが終わったばかりの頃はとても嬉しい気分に浸っていたが、日が経つにつれて多くのファンからかけられる、
「頑張って!」
という言葉が、徐々に私の心に重くのしかかってきて、大きなプレッシャーになっていった。
私は、オリンピック翌年の4月に開催された日本選手権水泳競技大会に出場したが、100m自由形2位、200m自由形3位という成績で優勝を逃してしまった。
少し焦った私は練習量を多くして取り組んだが、12月に開催された世界短水路選手権では、100m自由形4位、200m自由形5位という成績で、メダルに手が届かなかった。
自分自身では、特別に練習方法を変えたわけでもなく、特に日本選手権以降は、オリンピック以前よりも練習量を多くしていたつもりでいた。
しかし、結果的にこのような成績になってしまい、自分自身納得がいかない状況だった。
私は、自分の気持ちが少しずつ落ち込んでいて、先の道が見えない暗闇に迷い込んで必死に出口を探しているような感覚に陥っていた。
このような状況が、徐々にひどくなっていき、楽しかった水泳の練習が、とても辛いものになっていった。
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