第1章

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 悪夢を見た。そこにいたのは、アッシュブラウンのくせっ毛に太い眉を歪ませた鼻につくほど色気を放つバレエダンサーだ。 「俺が良いというまで離れるな」 「いや……。いやだ……!」  男は歩み寄ってきて、私を壁まで追い詰めた。顎を掴まれて舌をねじ込むような荒っぽいキス。両手を束ねて頭の上に抑えられ、無防備な胸や下半身を男の手が縦横無尽に行き来する。乱れた呼吸と暑苦しい程にギラギラした瞳が私を捕らえた。  嫌いなのに目が離せない。嫌いなのに、拒めない―――。  息もできないほどのキスに眩暈がして力が抜け落ちると、軽々と抱きかかえられてベッドに連れていかれた。 「そんなに怯えるな。優しく抱いてやる」  信じられない。もう、二度と信じない。琥珀の言うことなんて絶対に信じない!  そう思っているのに、身体を重ねてきた時の大きな手が裏切るほどに優しくて強引で、感じたくないのに感じてしまう身体に混乱した。  尻と腰を触る手が気持ち良くて、希理(きり)とは違う太い指が私を掻き混ぜ、乱れさせる。嫌なのに、許せないのに、どうして――――?
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