その後の…

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その後の…

「海に行かないか?」 写真集の撮影が終わってすぐ、僕は熱を出してしばらく寝込んでしまっていた。 熱が下がって、また学校に通いだして少しだけ落ち着いた時に斎藤君に言われた。 撮影の時のお礼も、その後お見舞いに来てくれた時のお礼も碌に出来ていなくて、撮影前にした話も全部うやむやになってしまっていた。 姉曰く、モデルの仕事はこれから一月以上入れるつもりは無いらしい。 ちーちゃんのペースでやれば良いのよと言って笑ってくれたけれど、高熱を出した僕に配慮してくれている事は分かり切っていた。 せっかくのオフなんだからいっぱい遊ぶのよと姉からも言われた矢先だった。 「海?」 「一回海の写真撮ってみたいってのと、針宮の事俺も撮ってみたいなってのと、それからどっかの旅館かホテルでゆっくりしたいってのとって感じなんだけど。」 てっきり、日帰りでちょっと遊びに行こうって話だと思っていた。 だから、泊りときいて少しだけ驚いてしまったのだ。 「行きたい!」 勿論姉の許可は貰わなくちゃいけないけど、斎藤君とどこかに行くのはきっととても楽しいだろう。 今までの僕だったらきっと、行きたいって気持ちを口に出すなんてできなかったに違いないけれど斎藤君の前では素直に自分の気持ちが言えた。 「針宮さんと結城さんにはもう許可貰ってるから。」 宿も見繕ってるし、今週末学校休みだろ。そこで行こう。斎藤君に言われてもう準備万端だという事に気が付いた。 「美味しいもの食べたりしようね。」 「そうだな。」 すごくすごく楽しみで、斎藤君が帰ったあと姉に報告の為に話すとニコニコとして楽しんできてねと言われた。
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