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それから、斎藤君に写真を撮ってもらって、少しだけ二人で遊んだ。
波打ち際で足で水を蹴り上げるとキラキラ光ってとても綺麗だ。
段々面白くなってしまって二人でどんどん深い方へすすんで、それで僕の足がもつれて、斎藤君は手を伸ばしてくれたんだけど上手くつかめず転んでしまった。
前の様に斎藤君に抱き止められなかったけど、それでも良かった。
ずぶ濡れになった僕を見て斎藤君が笑って、それから僕も笑った。
じっとりと重たくなってしまった服が張り付い気持ち悪いけど、それすらどうでもよかった。
転んでしまったことも、濡れてしまったこともとても些末な事に思えた。
「びちょびちょだね。」
「大丈夫か?」
僕が転んだ時に手を付いてずぶ濡れになった両手を見せながら言う。
斎藤君が手を伸ばして起こしてくれた。
「へーきだよ。」
まあ、このまま店とかに行けるかと言ったら無理だけど、別に大丈夫だと思えた。
斎藤君が隣にいてくれるから、僕は転んでも平気だ。
「流石にそれだと冷えるな。ちょっと早いけど宿いくか?
まだ、明日もあるし。温泉もあるし。」
「……そうだね。ゴメンね転んじゃって。」
「いや。……楽しかったな。」
「うん。」
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