4 異国

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4 異国

「待ちなさい」  そうだ、報酬を忘れていた。 「あっ?お代ですか?」 「舌で舐めるだけの治療に金なんか払えるか?」 「えーっ?キチンと治療したでしょ?」 「腕、イヤ、舌は確かだな?どうだ?これからは伊賀の為に働かぬか?」  戦国時代の伊賀の国は北畠氏と六角氏の2大勢力によって支配されていた。  徳川の為ではないのか?  治療したのに金をもらえないってゆーんじゃ大損だよな? 「分かりました」 「よし、この伊佐には村正が3本眠っている。ソイツを探し出してほしい」  村正は徳川家に凶事をもたらす刀だ。  家康の祖父、父、息子……相次いで村正によって葬られている。  正成の口ぶりからは徳川ではなく、六角や北畠に力を貸すように聞こえる。  正成を狙ったのはハルカなのだろうか?  伊賀は織田信長の次男、織田信雄に調略されている。六角は生き延びるが、北畠は信雄によって滅ぼされている。  第六天魔王と戦わなくてはいけないのだろうか?  祠を使ってパラレルワールドにワープした。  菱刈重昌に子が出来た。孫三郎と名付けられた。  孫三郎は元服し、隆豊と名を変える。  父・重昌は菱刈宗家に仕えていた。  パラレルワールドでは時間が過ぎるのが物凄い早い。  永禄12年(1569年)に相良氏と共に籠城していた大口城が島津氏に攻められ降伏した。  菱刈宗家の嫡子・菱刈重秀が島津氏の人質(成長後はその家臣)となる一方で、隆豊の家系は相良氏に仕えた。その後、相良氏が島津氏に従属すると、天正13年(1585年)に大友氏攻めに赴く島津義弘により、岡本頼氏・内田伝右衛門と共に所望され、その騎下に加わって各地を転戦し武功を上げた。 天正15年(1587年)豊臣秀吉による九州平定の際、相良氏は深水長智の機転で秀吉に降伏する。その際、隆豊は主君・相良頼房や犬童頼安らと共に日向国の島津陣営にあったが、頼房始め相良の将全員が島津陣営を去ろうとする中、隆豊のみは義弘との主従の約束を違えないよう、自ら相良家の名代として島津家に仕え続ける決断をした。但し、相良氏への忠節は変わらないとの意味で、自身の室と子・満亀(後の将監)を人質として相良領へ置いた上で、義弘に従い薩摩国に入った。  
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