真夏のスノードーム

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夏休みは田舎のおじいちゃんの家に行って過ごす。  それが小学校時代の僕の恒例の行事だった。  都会から遠く離れた山のふもとにあるおじいちゃんの家。  そこは、ほんの数歩歩けば隣の家に着く都会と違って、何分も、それこそ子供の足だと何十分も歩かないと隣の家へもたどり着けないくらいの超ど田舎にあった。  でもそこには山があって川があって森があって。  同い年くらいの子供は数えるほどしかいなかったけど、川で釣りをしたり、山を散策したり、そんな単純なことだけでも楽しくて、ちっとも退屈しなかった。  小学生の僕にとっては、山も川も森も、まるで巨大な遊園地みたいなものだったんだ。  そして、その巨大遊園地の中で、僕の一番お気に入りの場所は、小さな洞窟だ。  入口を入って少し進むと、ちょっとだけ広くなってる場所があって、そこが中心部。そこには天井から三角の岩が逆さになっていっぱいぶら下がってて、超が十個つくくらい格好良い。  しかもその洞窟は、入口が子供しか入れないくらい小さくて見えにくい所だったし、山の中のずいぶんと奥まった所にあったので、周りの大人たち含め、誰も知らない僕たちの秘密基地だったんだ。
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