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入院中、ある人物が僕を訪ねて来た。実は僕はその人だけに真実を語っている。
ある人物とはあのフライトの長谷川機長だ。
彼は僕の行動で 『結果』として乗客全員が無事だった事を感謝すると共に、
「君の行動は非常に不可解だ。何故なんだ?」と聞いてきた。
僕は少し躊躇したが、結局真実を話すことにした。
それは僕が特殊な体質である事。
実はあれは3回目のトライアルだったこと。
1回目は春香が窓から吸い出され、自分も怪我で死んだ。
2回目は席を移るものの大分空港の緊急着陸直前で左翼を失って空中分解した。
と丁寧に説明した。
長谷川機長は、最初、驚いていたが、納得した様にこう言った。
「信じられないけど、君の話は素人が知っているとは思えない緊急時の対応が含まれている。また愛媛沖で緊急事態に遭遇したら、僕も迷わず大分空港に緊急着陸するだろ。あの時の風向きを考えても左に別府が見えたのも正しい。左翼を失ったら空中分解するのも多分正しいと思う。僕は君を信じるよ」
そして長谷川機長は続けた・・。
「ということは、君は僕らの命の恩人だと言うことだね。ありがとう」
僕は二ヶ月後に退院して、現在は日常生活を送っている。
春香は思い出したように聞いてきた。
「隆、私、疑問があるの。あなたが異常行動を取る前、私の席を移らせたじゃない。あの時、私の席はエンジンの爆発で被害を受けた。今もあそこに座っていたかと思うとゾーッとする。あれはどうして?」
僕は答えた・・。
「えっ? うーん、僕も分からない。でも本当に良かったよ。春香が元気で・・」
僕は心の中で呟いていた。
(これからも一生守るからね・・)
FIN
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