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再び目を覚ました。
窓側の春香が言う。
「琵琶湖の上空だって・・。見えないな・・」
僕は時計を見た。十時四〇分だ。
僕は考えた。残り四十分・・
(やはりあの事故の前に緊急着陸をするしかない。その方法は・・?)
まずは春香を通路側の席に促した。春香は渋々、席を移った。
僕はトイレに立つ振りをして、最後部のギャレーに向かった。
前々回の死の前に客室乗務員がグリーンの酸素ボンベを抱えていたのを覚えていたんだ。
(機内に僕の計画を実行する為の道具は多くない。でもあのボンベなら・・)
(あのボンベは多分、ギャレーにある筈)
後部のギャレーに行くと、一名の若い客室乗務員が何かの作業をしている。
彼女を無視して僕はギャレーのいくつかのドアを開ける。
「お客様、何を? お止め下さい」
彼女は僕の腕を掴んだ。
僕は彼女の腕を強引に振りほどき、上方のドアから酸素ボンベを見つけた。
客室乗務員はインターホンを持って応援を呼んでいる。
「オールコールです。後部ギャレーで男のお客様が暴れて・・」
僕は彼女の声を無視して、上方の酸素ボンベを掴むと自分の頭に振り下ろした。
目の前が真っ白になる・・ギャレーに赤い液体が飛び散るのが見えた。
「あっ!? お客様!!」
客室乗務員の声が聞こえたが、そのまま僕の意識は遠くなった。
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