2章-2

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「アホ餓鬼、抱き着いたら蹴っとばすからな。それから、ルイスちゃんって呼ぶな」 「むむっ、相変わらずつれないんだからぁ……。ル・イ・ス・ちゃーん!」 突き放すようにルイスが言うと、メルはしゃがみこんで泣きまねを始める。 栗色のおさげを持って眉を下げる姿は、一見健気な少女のようだ。 その姿に騙されたノエルが、抗議の声をあげた。 「ひどいですよ、ルイス君。こんな子供にまで、そんな口をきくなんて」 屈んだノエルが手を伸ばすと、メルは灰色の質素なドレスをひるがえしてかわす。 「このお兄ちゃんは、もしかしてルイスちゃんの新しい金づる?」 「金づるって! せめて、依頼人と言ってください」 びしっと指さされたノエルが、声を裏返す。 取り乱すノエルを、少女は青い瞳を瞬かせて見つめた。 「まあいいや。――それじゃあ、メルちゃんはお仕事に行くからバイバイ、お兄ちゃん」 ふいと視線をそらして、メルはノエルの胸を突き飛ばした。 だが、走り去ろうとするメルの襟首をルイスが掴む。 「おい、さっきポケットに入れたものを出せ」 「うぐっ……」 少女は小さく呻く。苦々しく顔を歪めると、ポケットから小さな袋を取り出した。
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