2章-3

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2章-3

教会の裏手にある墓を案内するグレゴリーの後を、ルイスとノエルはついて歩いていた。 墓守のメルが手入れをしているとはいえ、この墓地を訪れる者はあまりいない。 おかげで、墓石には苔が生え、朽ちて崩れかけている物まである。 供えられた花もない寂れた墓地を進んでいくと、ようやくグレゴリーが立ち止った。 「――ここが、オデット・ディノワール嬢のお墓ですよ」 葡萄の木の陰にある墓石は真新しく、白い十字架に木漏れ日が映り込んでいる。 土は掘り返されたばかりだからか、湿り気を帯びて他の墓のものよりも色が濃い。 死の生々しさを伝える土を見たとたん、ノエルの顔から血の気が引いていく。 そんなノエルを横目に、ルイスは言った。 「グレッグ、例の写真を見せろ」 「ええ、構いませんよ。ただし、大事に扱ってくださいね」 グレゴリーは墓石の前で十字を切ると、懐から数枚の写真を取り出す。 「それはなんですか?」 写真を受け取ったルイスの手元を、ノエルが覗きこもうとする。 それを交わし、ルイスは写真を見た。 「オデット嬢の遺体の写真だ。――お前は見ない方がいいぞ」 「いえ、見せてください」 その言葉に、ルイスは僅かに目を見開く。 ノエルの顔はいつもの気の弱そうな表情ではない。覚悟を決めた男の顔だ。
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