2章-3

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「出血多量が死因ではなさそうだ。ナイフで切られる前に亡くなっていた可能性が高い。それに、犯行に使われたのはこのナイフではないな。こんな小さな果物ナイフで綺麗に腹をさけるとは思えない」 そこまで推理したところで、ルイスは黙ったままのノエルへ目をやった。 「気分が悪いのなら、教会でメルと遊んでいてもいいんだぞ」 「大丈夫、です。ここにいます。――それよりも、この写真はどうやって手に入れたのですか? これって、警察が撮ったものですよね」 真っ青な顔で無理に話をそらしたことに気づかないふりをして、ルイスは答えた。 「グレッグは検死場所として教会を提供する代わりに、検死を見学しているんだよ。――検死官も所詮人間だ。金を払えば、こうして貴重な事故現場の写真まで売ってくれる。神父のくせに、自分のテリトリーに埋まる前にその姿を目に焼き付けておきたいなんて。そりゃ、日曜日にも人が来ないというわけだ」 ルイスが鼻で笑うと、ノエルはきつく眉をひそめてグレゴリーに視線を向ける。 「それって、死体性愛者ってことですか?」 「いやですね、私は純粋に死体が好きなだけすよ。死体マニアです。ルイスと違って、死体になった経緯には全く興味はありませんし……」 「余計に気持ちが悪いんですけど」 ぽっと、頬を赤らめるグレゴリーにノエルは軽蔑の眼差しを向ける。
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