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――少年の左目から頬にかけて、火傷のようなただれた傷があったのだ。
痛々しい傷を見たやじ馬たちは、ちりぢりにその場を離れて行く。
彼らがいなくなると、少年は前髪で傷を隠し、その場を後にした。
残ったのは犯人を連行していく警察官だけだ。そこへ、一人の青年が馬車に近づいた。
憂鬱そうに金髪を掻き上げた青年は、馬車から視線をそらすと呟く。
「……サファイアの瞳に顔の傷」
――見つけた。
少年が消えた雑踏を見つめながら、青年は笑みを零した。
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