He was cicada

2/3
前へ
/3ページ
次へ
ミーンミーン。暑い中、セミの声だけが響き渡る。  セミ・・・。あの日も、よくセミが鳴いていた。  僕の親友が旅だったのは、あのことが原因なんじゃないかと思う。僕たちは、本当に仲が良かった。ぼくは彼になら、思っていることをなんでも話せた。だけど・・・。  ある日から彼は、抜け殻のようになってしまった。  それは、僕たちの捕まえたセミが死んだ、次の日だった。僕の家に来た彼は、青白い顔をしていた。いつもは笑顔で明るい彼だったのに、その日は無口だった。そして、次の日からも。  セミは、土から出て1週間しか生きられない。ぼくたちのセミも、捕まえて2、3日で死んでしまった。彼は、セミが死んだことがショックで、旅立ったのかもしれない
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加