宿題をやろう!

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 よっしゃー! 夏休みだぁ!!  1学期最終日。少年は自宅に帰るなり、両手を塞いでいたビニール袋を玄関に投げ入れ、ランドセルを置いた。ただいま! いってきます! 叫び、そのまま何処かへ行こうとしたが首根っこを掴まれた。 「ちょっと! 片付けてから出掛けなさい!」  少年の母親である。物語には全く関係ないが、童顔で可愛らしいと近所で噂の若奥様。 「ええー母ちゃんかたづけといてよ! 今からこうちゃん家でゲーム大会!」  片付けを人に押しつけ、今にも飛び出しそうな息子に母親は溜め息をついた。しかも昼ごはんを食べずに友達の家に…相手の家でいただく気満々ではないか…。 「母ちゃん片付けてあげないからね!」  母親は少年が投げたビニール袋の中身を見る。中には学校に置いていたプリントが山のように入っていたが、その中に…ああ、あったあった。 「ほらー! 宿題混ざってる! もし母ちゃんが間違えて捨てたらどうするつもりだったの?」 「母ちゃんのせいにして、おれ宿題めんじょ!」  満面の笑みを浮かべる息子。もう母親は何も言えない。 「そうえばなそうえばな! 今日先生におどされた!」
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