宿題をやろう!

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突然出て来た、脅すなんて物騒な言葉。少年が言うには、物語には全く関係ないが、眼鏡をかけたアニメのキャラクターみたいな甲高い声の女の先生が、宿題を手渡す際にこんなことを言ってきたという。 「少年くん、宿題しないと世界が崩壊しちゃうよ」  こうちゃん(友達)に聞いたところ、世界を人質にされてるんじゃね?と言われた。人質ってあれだ、ドラマで見たことある!  その話を聞いた母親は、ちゃんと宿題をやろうと息子に言い聞かせるも、そんなの自分には関係ない! 両手を広げて、笑いながら走り去った。 「おれが宿題しないと崩壊しちゃう世界なんて滅んじゃえー!」  その1週間後、宇宙人がやってきた。 宇宙人はまず始めに隕石を降らすと宣言し、それを無視した政府のところに隕石が降ってきた。幸い怪我人は出なかったものの、地球人を恐怖のどん底に突き落とすには充分な行動であった。このままでは、本当にやられてしまう。どうしたら命を助けてくれる?…その問いに、宇宙人は答えた。 『少年くんが夏休みの宿題を終わらせれば、我々は帰りましょう』  少年くん…? 日本人らしき名前を出され、地球のお偉いさん方は首を傾げた。 その会見を、少年はネットニュースで興味半分で見ていた。まさか自分の名前が出るとは思わず、携帯電話を投げ出した。夏休み前の先生の言葉が、頭の中で反芻する。本当に、自分が宿題をやらないと世界が滅んでしまう…? 「だからあれほど宿題をやれって…」  2日に1回の割合で宿題の進捗を聞いてきて、やるように促してきた母親の言葉が突き刺さる。 いやいや。いやいやいやいや。少年は頭を振った。自分の名前がこの日本中に一体いくらあると思っているんだ! 大丈夫、バレない。まるでイタズラをしでかした子供ような心境だった。何もやってないのに。いや、何もやっていないのだが。(主に宿題を)
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