宿題をやろう!

5/7
前へ
/7ページ
次へ
「はい! まずは予定表を作る!」  当然、後ろから強く肩を掴まれた。振り向くと母親が力強い目で少年を、息子を見つめていた。 「か、母ちゃん…っ」  半泣きになっている息子に、母親は自分の小指を出した。息子も自分の小指を出し、母親の小指に引っ掛ける。俗に言う、指切りげんまん。  これから毎日宿題をやる? 日記も毎日つける? ゲームをするのはいつ?  色々と制約を交わし、最後に指切りげんまんの決まり文句で締めた。  少年は計算ドリルメガホンを、再度民衆に向ける。 「えー皆さんにお願いがあります」  宿題をするための環境として、うちに新しいクーラーと扇風機を設置すること、宿題が終わるまで自分のことはほっておくこと、ゲーム会社に新しいゲームの発売やソーシャルゲームの新規イベントはしないこと…などをお願いした。 「あと、宇宙人のみなさんにもお願いがあります!」 「わー…本当に宇宙人と宿題やってるのかよ」  こうちゃん(友達)が少年の家に行くと、少年は居間で宇宙人達と宿題をやっていた。 宇宙人は文章に表せない容姿をしているが、意思の疎通は出来るらしく、共にわからない問題を共有している。目や手と指もあるから読み書きも出来る。 「宇宙人には一緒に宿題してくれるよう頼んだ! だっておれ一人じゃ出来ないもん」と少年は話す。分からないところが多いし、母親だって忙しい、毎日はなかなか見れない。 長い夏休み、毎日家にいるわけには行かず、遠くにだって行きたい。そんな時は宇宙人のUFOに乗って遊びに行くのだ。お陰で日記は宇宙人達と遊んだことばかりだ。 「自由研究も宇宙人と一緒にやった! UFOのすみで作ったネズミ!」 「UFOの墨…? それ大丈夫かよ…」  真っ黒なネズミの造形を見て、こうちゃんは携帯で写真を撮った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加