夏の宵にコンと鳴く

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 チントンシャン トンチンシャン チトシャン ……  たゆたう意識の向こうで、詩緒は祭り囃子(ばやし)の音を聞いた。  その音は、遠ざかったり近づいたり、つかみどころなく聞こえている。  それを聞くともなしに聞きながら、詩緒はずっと昔の、子供の頃の不思議な出来事を思い出していた。
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