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多分、最初から。
保健室で三月が俺の名前を呼んでくれた時から
自分の知らないところで自分のことを知ってくれていたことに、意識していたんだと思う。
家が近いのは偶然で、学校帰りに電車で話すのは楽しくて。
父親は単身赴任で母親は仕事で帰りが遅くて、家ではいつも一人だった。
だからどこかで寂しくて、一緒にいて楽しい三月と離れがたくて買い食いに付き合わせたり。
徐々に徐々に俺の中で存在が大きくなって、極めつけは三年の二学期の終業式。
誰かと楽しそうに会う約束をしているのを見たとき、裏切られたような気持ちになって傷ついて。
取られたくないのに付き合って壊れるのがコワくて一歩踏み出せないでいた。
それは今でも。
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