20 ポテトサラダの隠し味

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「どうぞ」樫山は周防の前に、ビールとポテトサラダを置いた。 「お、これこれ」  周防はそう言ってビールをごくりと飲み、すぐにポテトサラダを口に運んだ。その様を、樫山は緊張しながら見守る。 「うまい」  周防は声を張った。「いや、久しぶりに食ったけど、本当にうまい。隠し味なに入ってんの?」  聞こえたのは、それだけだった。空気を震わせる、周防の聞き慣れた声。 「ありがとうございます。隠し味は、隠しているから良いのでは?」  樫山はほっと胸を撫で下ろした。 「なんだよ、うまいこと言って。ところで、電話でもちらっと話したけど、もう一人来るから」 「お連れ様ですね」 「ああ。そんで、そいつは俺が今から話すことを知ってるから、来る前に話しておきたいんだけど」  と周防は前のめりに話し出す。 「先日、けっこう大きな卓球大会があって、なんと優勝したんだよ、俺」 「それは、おめでとうございます」
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