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「どうぞ」樫山は周防の前に、ビールとポテトサラダを置いた。
「お、これこれ」
周防はそう言ってビールをごくりと飲み、すぐにポテトサラダを口に運んだ。その様を、樫山は緊張しながら見守る。
「うまい」
周防は声を張った。「いや、久しぶりに食ったけど、本当にうまい。隠し味なに入ってんの?」
聞こえたのは、それだけだった。空気を震わせる、周防の聞き慣れた声。
「ありがとうございます。隠し味は、隠しているから良いのでは?」
樫山はほっと胸を撫で下ろした。
「なんだよ、うまいこと言って。ところで、電話でもちらっと話したけど、もう一人来るから」
「お連れ様ですね」
「ああ。そんで、そいつは俺が今から話すことを知ってるから、来る前に話しておきたいんだけど」
と周防は前のめりに話し出す。
「先日、けっこう大きな卓球大会があって、なんと優勝したんだよ、俺」
「それは、おめでとうございます」
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