20 ポテトサラダの隠し味

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 樫山は周防に1枚のカードを渡す。 「まだ少し先ですが、店を移転することにしました。今度はバーというより、レストランに近い形を予定してます。路面店になります」 「え、路面店? どうしてまた」 「いろいろと変化の時だと思いまして」 「変化って、おいおい、樫山君までのろけか?」 「違いますよ。でも、由梨さんのおかげであることは間違いないです」  樫山はそう言って微笑み、店の奥に引っ込んだ。そして椅子を1つ手に持って戻り、周防の横に並べた。 「地下って場所が嫌になったわけじゃ、なさそうだな」  その場に立ち、薄暗い店内を愛おしそうに見つめる樫山を眺めながら、周防は推察を始めた。 「やはり、由梨か? 金か? ああ見えて、お嬢様だし。金が必要になったのか?」 「いえいえ」  周防はカードに書かれた営業時間を確認しながら、「オープンが5時半で、クローズは11時? 随分と早いな。あ、つまりあれか? 夜はゆっくり二人でエッ」 「違います」  樫山は真顔で周防の言葉を遮る。
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