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樫山は、尤もらしく目を瞑り、タロットをシャッフルし素早くテーブルに並べた。いくつかの質問を挟み、カードが次々と開かれていく。
「えー。それって結婚しないほうがいいってことぉ?」
占いを終えた樫山に、由梨は口を尖られた。
「そうですね。占いによると、そうなります」
はっきり言って、占いは適当だ。タロットカードの意味を知り、あとは相手の心を読み、それを利用して話しているだけなのだから。
「ショック。その人、優しくって超イケメンなのに」
「イケメンですか」
「あ、マスターには負けるよ」
「もしや、何か気がかりなことがあるんじゃないですか? お金絡みのことで」
「お金?」
由梨は樫山を見つめる。すでに時間切れの由梨の心は見えない。
「このタロットを読み解くとそうなります。財産や愛を失う危険があると」
「はー、財産ねぇ。やっぱマスターはすごい。それ、きっと当たってるよ」
由梨はそう言って、自ら話し出す。
「なんかね、起業するからお金を貸して欲しいって彼に言われて」
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