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「でも、まあ、今日限りでおしまい。ああ、出会う男出会う男、クズばっかりで嫌んなる」
そんな強がりを言いながら、由梨は残りのワインを飲み干す。そして、ぼんやりと男を思い返す。その脳裏に浮かんだ記憶から、さきほど語られなかった真実を知り、樫山はそっと安堵する。
彼女が男に貸そうとしていた金額は、1千万円。城ヶ崎由梨がどこかのお嬢様だったとしても、なかなかの大金だ。
「今日はありがと、マスター。また来るね」
カクテルにポテトサラダにパスタ、そして市販価格9千円ほどのボトルワイン1本。
「お会計は、4万7千円になります」
ぼったくりだと騒がれそうなこの金額に、文句を言った客は今まで一人もいない。
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