第二章 八百万孤児院 

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2ー2 「ったく、お前らなぁ、少しは俺の立場ってもんを考えちゃあくれねぇか?見ろ、この書類の山。今夜も徹夜になっちまうじゃねぇか。」 『ごめんなさい・・・』 人拐い騒ぎのあった日の夜、僕達は全員、孤児院の一階にある父さんの書斎に呼び出され、お説教を受けていた。 内容は『八百万ルールその3、許可なくお外で能力の使用は禁止』を破った事について、だ。 八百万ルールとはこの孤児院で生活する上で守らなければいけない掟の様なもので、破った場合父さんからの厳しい罰が与えられる。 八百万ルール・・・何故だろういつ聞いても凄く壮大な物のように感じる。 なぜ、僕達がそのルールを破る羽目になったかというと。 昼間、僕達の末っ子にあたるユメが誘拐された。 ユメは普段は施設に引きこもり気味で滅多に外に出たがらないのだが、今日は気分が良かったのか、レイ兄さんとヤミの三人で散歩に出掛けていたらしい。 そして、レイ兄さんとヤミが少し目を離した隙に、まんまと連れていかれてしまったのだ。 幸いヤミがすぐに気付き、レイ兄さんの能力で人拐いを追跡、人目の無い所まで来たらヤミの能力で蹴散らす。という隠密作戦でユメを助け出す事ができたらしいのだが、奴等が悲鳴を上げてバラバラに逃げ出したのが不味かった。 偶然近くを通りかかった僕とココロが何事か?、と現場に来てしまったのだ。 あのままならまだ『見かけない怪しい男達が町を叫び回っている』ですんだかも知れないが、事情を聞いたココロが激怒し、能力全開で男達を追い始めてしまったのだ。ココロの能力は少し目立つ。 町の人に、『神の能力者が見かけない男達を追いかけ回している』と認識された以上、この町にいる神の能力者は僕らだけなので嫌でも父さんの耳に入るだろう。 ならばいっそ、この怒りを思い切りぶつける為に奴等を動ける兄弟姉妹で全力で捕まえてやろう、と。 そして、今に至る。
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