第二章 八百万孤児院 

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「いつも言ってるだろ?俺の居ない時に能力を使ってる所を人に見られるのは不味いんだって、変な噂がたたないよう報告書も通常の倍は提出しにゃならんくなる・・・。特に強化系のお前ら!!報告書の大半はいつもお前達だぞ!」 父さんはビシッ!と指を突きだし、ココロ、ホシ、ヤミの三人に向かって順番に指していく。 「だから、悪かったって・・・。」 「面目ないっす・・・。」 「ごめんなさい・・・。」 三人は気まずそうに視線を反らし、謝罪する。 「確かにユメを拐うなんざ、言語道断だがな、やるなら能力以外でやれ!何の為に俺が暇を見ては武術や魔術を教えてやってると思ってんだよ、ランクも十分上がってんだろ?」 「あれは、あまり性に会わないんだよなぁ。」 「確かにみんなランクは2っすけど・・・」 「つい、・・・癖で。」 「お前達・・・。」 父さんの言うランクとは、武術や魔術の熟練度の事で一般的にランク1からランク5まであり、ランク2もあれば一人前のレベルだ。 その中、なんと父さんは槍術ランク4、魔術ランク5という世界にそうは居ないランク5保有者だ。 そんな父さんは頭を抱えて、唸り、視線を移す。 「ホントにわかってんのか・・・、レイ、お前こいつらの兄貴だろ?しっかり止めてくれよ・・・。」 「あはぁ、そもそもの元凶はユメを散歩に誘った僕だしぃ、最年長と言ってもシンの方がしっかりしてるしねぇ、大体僕の能力でどう強化組を止めろとぉ?」 「お前はまだそんな・・・。」 父さんは三人の次に僕達の一番上の兄に当たるレイ兄さんに矛先を向けるが、流石のレイ兄さん、いつもの間延びした話し方で肩を竦める。 父さんはどこか複雑な顔をしていたが結局何も言わなかった。
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