第二章 八百万孤児院 

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2ー3 孤児院は二階建てになっていて、二階は主に僕達の寝室になっている。長い廊下にドアがズラリと並び、中は二段ベッドが二つに衣装タンスが一つのみの、まさに寝るためだけの小さな部屋だ。 一人一部屋は使えるが、姉妹達は一部屋にまとまり、兄弟達は四、二に別れて使い、三部屋しか使用していない。少しもったいないかもしれないが一人よりも安心するし、空きの部屋は荷物置きにすればいい。 そんな小さな寝室に僕はユメとヤミをベッドに寝かしつけてやる。 ユメは素直に、ヤミは「そこまで子供じゃない・・・」と少し不満げに。そんな可愛い弟達に顔を綻ばせていると、  「なぁ、シン?レイの兄貴はどうしたんだ?変なのは相変わらずだが、あの真顔はあまり見ねぇよな?」 僕の後ろ、二段ベッドの上に登ったココロが見下ろしながら尋ねてきた。 「さぁね?レイ兄さん以外に頭いいから何か気になることでもあったんじゃない?もしくわ、父さんに相談事とか。」 僕も二段ベッドに登りながらココロにそう返すと、 「レイ兄ぃ、・・・散歩の時も少し変・・・だった。」 下にいるユメが、ボソッと呟いた。  「ん?そうなのか?」     
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