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1ー2
「チクショウッ!?何なんだよこれはーーー!?」
薄暗く、人通りの無い路地裏に男達の叫びが響く。
普段は猫やネズミくらいしか通らないその路地裏に、複数の男達がまるでクモの巣に掛かったかのように宙を浮き、もがいていた。
「あははぁ、こりゃ見事に引っ掛かったもんだねぇ。大量じゃなぁい、流石『ミカド』、やるねぇ。」
その男達を悠然と見ていた黒髪の少年は間延びした声をあげ、隣で胸を張っている背の低い桜色の髪の少女の頭をポンッポンッと叩く。
「当たり前だし!ウチの網はウチしか見えないから引っ掛かって当然だし!っというか『レイ』、あんた何もして無いんだから早くこいつらしょっぴくし!!」
『ミカド』と呼ばれた少女は自慢気に言うと、頭を叩いてくる『レイ』の手を払って男達を指差す。
「えぇ?僕がやるのぉ?やだなぁ、力仕事は『ヤミ』に全部任せないぃ?」
「自分より幼い弟に頼るとか、どんだけ情けない兄貴だし!?少しは働くし!」
「ハイハイィ、わっかりましたよぉ。・・・まぁ、こいつらにはさすがに僕も頭に来てるしぃ?」
肩を竦めておどけていたレイは目を細め、両手の関節をポキポキ鳴らす。
「せっかく『ユメ』が珍しく散歩に付き合ってくれたのに ぃ、それを邪魔しやがってぇ、・・・自警団に突き出す前にちょぉっとお仕置きが必要だよなぁ?」
「当然だし!こいつら全く持って許せないし!よりにもよってユメを拐おうとするなんて!馬鹿にも程があるし!」
ミカドはウンウンと頷き、男達に怒鳴り付ける。
「クソッ!おい、ガキッ!この訳のわからない拘束を早く解きやがれ!さもないと痛い目に遭わせんぞ!!」
「そんな格好で凄まれてもねぇ?」
「自分の状況が分かってないみたいだし。・・・ほら、レイ、早くやるし。」
凄む男達に呆れながらミカドが指を振ると一人の男が大の字になったままゆっくりレイの目の前まで降ろされる。
「はーい、んじゃ失礼してぇ、・・・歯ぁ食いしばれよこのクソ野郎がぁ!!!」
「ちょっ!?ちょっと待っ・・グハアッ!?」
バキイィィッ!!
固く握りしめられたレイの拳が動けない男の顔面に容赦なく炸裂する。
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