4人が本棚に入れています
本棚に追加
1ー3
男は人通りの少ない道を選びながらも、町の正門を目指し、ひた走っていた。
「はぁ、はぁ、・・・クソッ!何なんだよあの訳のわからないクソガキは!?」
男は物陰に隠れながら辺りを見回し、誰も居ない事を確認すると一本道に飛び出した。
「せっかく珍しくて高く売れそうな白髪のガキを手に入れたと思ったら、急に現れやがって!何だあの鬼のような強さは!」
ブルッ、男は先程起こった事を思いだし、身震いした。
彼らは、美しい女性や珍しい容姿をした子供を拐っては売り払う、王都で有名な人拐い集団であり、この町にはついさっき潜入したばかりで身を潜めるアジトを探している最中だった。
そんな時、見たことも無い程白い髪に白すぎる肌、翡翠色の瞳というまるで作り物のような美しさを持つ少年が目に入り、男達は迷う事なく少年に狙いを着けた。
そしていざ周囲の目を盗んで少年を拐い、路地裏へ駆け込むとそれは起きた。
突然、何もない空間から黒髪で闇のように暗い瞳をした少年が現れたと思ったら、たった腕を一振りしただけで数人の部下達をまるで紙切れのように吹き飛ばしたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!