二章 伊佐市にて

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どかっと 誠所長の目の前に 胡座をかいて座った 小柄ながら 威厳らしきものを感じさせる 河童 いや ガラッパの長老 水掻きのある手の平を 額にピシャリと撥ね付けるや 「酒ねぇ あやかしとはぁ 言えねえが 一ついるのぉ 怪しいのが」 「長老 そいつは?」 「車ん中のじいさんよぉ お前さんなら知ってるだろう あの郡山の八幡さんの 落書きよぉ」 急に 声をかけられた 河原翁 車から出てきては「おお あの神社を立て直した時出てきたっちゅう ここはケチで 焼酎もだしゃぁしないって落書きのことかいのぉ」 「そうよ そうよ それにはなぁ あと話があってな そうさな 誠よぉ お前さんが わしらを説教してから 数年後くらいじゃったなあ 村の若い衆がなぁ 酒がてんで飲めないってことで この郡山八幡神社の境内 いや 境内じゃないなぁ まあ 神社の傍の 地面にな 焼酎の入った龜を埋めてなぁ そいつに 願掛けをしよったら そいつ 酒豪になったって話があってなあ さて たまにじゃが その龜の埋まったところとおぼしき場所に願掛けをするのが出て来てるんじゃがなあ さて 最近じゃが あの辺りを縄張りにしてるもののけがなあ いきなり結界が出来ちまって 通行できんくなったと溢しておったわ。」 「ああ そう言えば うちの兄ちゃん 同じようなこと言っては 八幡様の近所 ふらふらしてたよ。ねえ じいちゃん」 「ああ そうじゃったかぁ 何故 わし 気がつかなんだったかのぉ?」 「おそらく その龜 いやいや もしかしたら 神通力みたいな力を持ってしまったのかも知れないなあ 厄介じゃなあ その龜の場所 長老 わかるかぁ?」 「ばかこくでないがぁ わしらが神域のことなんぞ知るわけあるめえよ」 「まあ 確かになあ これは仕方ないが 古式ゆかしく 龜の精に憑かれた青年と酒合戦でもするっきゃないかぁ しかしなあ わしは 下戸やしな 誰か この地で酒強いやつ 知らんかねえ 河原のおじいさん。。。」 「んにゃあ 強いやつはおったが ここ一週間で皆 返り討ちにあってなあ おらんよぉ」 が そこで 今まで会話に加わっていなかった 磯田記者が 車より出てきては 車の中を指して「ほれ所長 そこにおるよ 無茶苦茶酒豪が」とその先には 白鷺 美紀 私ぃ?。。。。。
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