秘密の香り

8/13
前へ
/135ページ
次へ
「私のことが?」 「なんか私に似てるなって思ってた。顔とか、体格とか、声とか、ふとした仕草とか」 「こんな地味な根暗が真紀に似てるわけないと思うけど」 「そんなことない。香菜は私と違って、自己評価が低すぎ」   眠気など吹っ飛んだのか、真紀は私の腕を揺さぶりながら言う。 「実際、香菜は私に間違われるほどそっくりになったでしょ。それは、きっと私みたいに胸を張って歩くことを覚えたからだよ」   誇らしげな表情の真紀に、何度も考えた疑問が浮かぶ。   私を真紀そっくりに変えてくれた理由がやはり分からない。 彼女は一体、なにを求めていたのだろう。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加