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「おはよう、一条さん。眼鏡外したんだね」
「うん……」
「髪も今日は結んでないんだね。すごく可愛い」
なにを言われたのか分からず顔をあげた時には、彼女は仲間の元に戻っていた。
西野さんの近くには真紀がいて、彼女が私に目くばせをする。
――おはよう。
声を出さずに口だけを動かした彼女に、会釈をして返した。
それを皮切りに、何人かのクラスメイトに髪型や色づいた唇のことを褒められた。
気恥ずかしく感じながらも、嫌な気はしなかった。
眼鏡をはずして少しかすんだはずの世界が、私にはいつもよりも輝いて見える。
4限目が終わり昼休みになった頃には、まるで別人になった気分だった。
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