小さな変身

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「香菜、食堂行こう」 「あ、ちょっと待ってて」   朋ちゃんに急かされ、机の横にかけたランチボックスを手に取る。   そういえば昨日、真紀にまた一緒に食べようと誘われていたのだった。   どうしたものかと教室を見回したが、真紀は西野さんたちと楽しそうにおしゃべりをしている。 こちらに視線を向ける気配もない彼女に、無性に苛立ちがこみ上げてきた。   昨日から、彼女の気まぐれに振り回されてばかりだ。 「早く行くよ」   真紀を睨むように見ていると、朋ちゃんに手を引かれた。 「うん」   あの【また】というのは、今日のことではなかったのだ。 気まぐれに彼女が選んだ日のことだとしたら、別に彼女を待つ理由はない。
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