「夏がきた」

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手づかみで黒いゴミ袋に夢中でカブトムシを放り込み、ポリ袋1つくらいになりぼくはミッションを終え、家から持ってきた水筒から、墓の一角に腰かけぬるい水を飲む。 風景を眺めると、プチはぼくが辛うじて認識できる500mほど先にいる。 そのときである。 僕はヒザと短い半ズボンの間にカラスのような気配を感じた。 スズメバチは勝ち誇った笑みを浮かべるが如く、アゴをガシュガシュ交差させている。これは人間を襲うときの準備運動である。以前スズメバチに噛まれ体験済みである。 そのときはプチが果敢に追い払ってくれた。もし二匹目の攻撃を受けてたら死んでいたと医者が言っていた。スズメバチに噛まれても一度目は死なないが二回目は体に抗体ができており体がそのショックに耐えられず心臓マヒで死ぬ。 では状況を整理してみよう。 どう考えてもぼくが死ぬ以外の結末はない。
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