2 好きと気づいたら…

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ヤシンと向き合って椅子に座り、ヤシンの用意した朝食を食べていた。 ヤシンは先に食べ終わり、笑みを浮かべながら俺の食べる姿を見ている。 すごく食べにくい……。 「あの、そんなに見られると食べにくいのだが…」 「恋人になったカバネさんが、全てかわいくて愛おしいと思いまして」 俺はパンを喉に詰まらせて、慌てて水をぐびぐびと飲んだ。 「お前な、こんなオッサンつかまえて、かわいいとか言うな。それに、その、こっ恋人って、本当に俺でいいのか?お前なら彼女くらいすぐに作れるだろうに」 「僕はカバネさんじゃないと嫌なんです。カバネさんこそいいんですか?生まれて初めての恋人が僕のような男で」 ヤシンはからかうように、ニヤニヤと笑っていた。 「いいから、あ、あああんなことさせるんだろうがっ!お前以外にあああんなのされたくないし!それに、お前と一緒にいたいんだ」 顔がまた耳まで真っ赤なっていくのが、自分でも分かった。 「僕があの村を支配した暁には、あなたを村に連れ帰って、僕だけの目にしか触れない場所に閉じ込めて、一生愛して、可愛がってあげます」 「いや、閉じ込められるのはちょっと…」 「…もう逃がしませんからね」 「ちょっと、ヤシン、俺の話をだな…」 「さーてと、僕はこの辺で帰りますね!色々と仕事を中断してきてしまったし。足に貼る薬とか包帯とか、そこの袋にまとめてありますから、無茶しないで治すことに専念してくださいね」 ヤシンは立ち上がり、いつまとめたのか、既に綺麗にまとめられた荷物を手にして、ドアに手をかけた。 「また仕事の合間に来ますね………これ以上いると帰れなくなる……」 最後の言葉は小さすぎて聞こえなかったけども、また来ると言われて、俺はなんだか安心した。 呆気なく帰られて少し寂しくはあったけれども。 はれて俺とヤシンは恋人同士になったのだから!
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