3 両思いの裏に

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スピーカーからのジジジッという音で我に返った。 また昔のカバネさんの事を思い出して、ぼーっとしてしまった。 「おーい、おーい。なぁ、これに何か仕掛けがあるんだよな?これってお前に聞こえてるんだよな?」 スピーカーから、様子を伺うようなカバネさんの声が流れてきた。 ビックリした! だけど、いい加減、あの鈍感ドジっ子なカバネさんでも気づく頃か…。なんだろう?今更だけど、盗聴器や発信機付けたこと、しかも大切な剣に仕掛けたことでも文句言ってくるのだろうか? それなら面と向かって言ってきそうではあるけど。 「あ、あのさ、お前って最近仕事忙しいの?あ!俺の今いる場所が村から遠すぎるからか?!そっか、そうだよな、ここ遠いよな…。」 「?」 どうしたんだろう?何か僕に用があるのだろうか…。 「……ヤシンに、会いたい」 「!!!!!」 「うわっ、俺何言ってんの!!!!!今のなし!なしでお願いします!じゃあな!」 スピーカーからは、剣から遠ざかっていく足音だけが聞こえていた。 僕は素早く鼻を手で押さえた。指の間を赤いものがツーっと流れ出た。 片手でティッシュを取り、鼻に当てがい、洗面所に急行し、手やら顔やらを洗い、とりあえず鼻にティッシュをぶっ刺した。 手帳を開いてスケジュールを確認、変更に変更を重ねて、カバネさんのいる所まで行く予定をねじ込んだ。 「あなたが僕を求めてくれるのならば、何があっても行きますよ!!!!!」 いそいそと鞄に荷物を詰め込んで あ!この前手に入れたオモチャを持っていこうかな?それとも拘束具とか…。いやいやでも、まだ数もこなしてないのに、いきなりこんなの使ったら怖がらせちゃうだろうなぁ…。 でも、これで、あんな風にあんなになってしまうカバネさん………見たいなぁ。 遠い街の空の下、カバネの悪寒が治まることはなかった…。
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