独りよがりな嘘とキス

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「あっ、やっ、やんっ……」  声を我慢しようと口唇を噛み締める穂高をキスで解き、舌を絡ませて理性さえも吸い尽くす。  こんなに深く濃いキスをするのは初めてかもしれないと久住は今までの相手を振り返った。どんなに魅力的な相手も一晩限りの付き合い。お互い、行為に慣れていればベッドまで行くのはとてもスムーズで駆け引きもいらない。  軽い関係だけしかして来なかった。同性同士の深い付き合いなど不毛だと割り切っていた。  ところがどうだ。彼に関しては何もかもが今までと違う。  仕事関係のパーティーで口説くのも、相手に連れられるまま部屋に行くのも、その肌に自らの跡を残すのも。全てが初めてで、そのどれもが興奮の材料になる。  こんな蕩けるようなキスをするのも彼が初めてだ。性欲を処理するのにキスなどいらない。義務でする事はあっても、無我夢中で貪る事など無かった。  お互いが喰うか喰われるかの獣のような口付けは口唇が腫れてしまうまで何度も交わされた。腫れてもまだ足りずにまた重ねて、ふやける程絡ませ合った。 「はぁ……はぁ……」  時折、口唇を離すと息を整えようとする穂高のその呼吸まで奪ってまたキスをする。  中に入ったままかき混ぜる指はとうに三本まで増やされ、ヒクヒクと指に内襞が蠢きながらまとわりつく。 「んっ、あっ……!」  じっくりと中を解しながら探し当てた穂高の敏感な場所。トントンと指で押す度にビクビクと体を跳ねさせ、背中を弓なりにしてつま先を立てる。  グッと強く刺激を与えると嬌声を上げて、ふるりと下半身を震わせ、いきり立った半身からドロリとした白濁を吐き出す。 「中だけでイけるだなんて、随分と開発されてるんだな」  今まで彼の体を堪能してきた見知らぬ男達に嫉妬した。もっと早く出逢えていれば自分がゼロから彼を開発し、自分好みに作り上げたのに。
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