独りよがりな嘘とキス

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「……そんなこと……」 「なに?」 「……久住さんが上手いから……我慢出来なかった……」  顔を赤くして逸らした穂高は可愛らしく、パーティー会場で挑戦的に佇んでいた彼と同じ人間には見えなかった。  殆ど遊びを知らない、一晩限りの相手を品定めするような彼は幻だったのかもしれない。このベッドの上でしなやかな体を久住にだけ見せて頬を赤らめているのが本当の穂高の姿なのかもと考えると、今すぐめちゃくちゃにして奥まで突いて啼かせたかった。  中から指を引き抜くとその反動に穂高の体が痙攣する。そんな敏感な状態の穂高を更に攻め立てて半身を後孔に押し当てる。 「あっ、待っ……」  待ってと言う願いなど訊けるはずもなかった。久住自身、もう入れたくて限界だった。  ひくつく後孔に自信の太い先がずずっと入っていく。暖かい入り口が久住を飲み込む。 「はっ……あっ」  括れた部分までゆっくりと入れて一度動きを止める。入り口の形が自分の大きさに馴染むまで、じっと待つ。暖かく湿る、もっと奥へと突き進みたい衝動を抑えて。  顔を歪めてその圧迫感を受け入れようとする穂高を見下ろしているとキスがしたくて堪らなくなった。あまり圧迫させないようにそっと穂高に覆い被さり、手で穂高の髪を梳き額にキスを落とす。 「久住さんて……もっと……」 「もっと……何?」  汗ばんだ体と体が重なり合う。しっとりと吸い付いて離れ難い気持ちにさせる。 「もっと冷静な人だと思ってた……。こんな甘いキスをする人だと思わなかった」  ふふ、と微笑む穂高がパーティー会場の時見せた不敵な笑みとは全く別の幼さをのぞかせる。
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