独りよがりな嘘とキス

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「君だってこんな可愛いとは思わなかった。もっと……」 「もっと?」  穂高の鼻の頭に軽くキスをする。  もっと即物的で体さえ満たされればそれでいいのだと思っていた。穂高に対しても、そして自分自身も。 「気持ちなんていらないんだと」  それは穂高に対して言った言葉だったのか。  穂高から伸ばされた腕は久住の首に巻き付き、どちらからともなく口唇を重ねる。  穂高の口内を舌で探りながら、繋がった箇所を奥に向かって動かす。無意識なのか穂高の腰も魅惑的に揺れて久住の半身が全て穂高の中に包まれるまでそう時間はかからなかった。 「はっ……熱っ……」  熱病に冒されたのだと感じた。それも治らない病だ。  こんなにしっくりとくる体は初めてで、余すことなく味わって自分だけのモノにしたかった。  少しずつ腰を動かし穂高の奥を攻める。  ベッドのスプリングと共に穂高の体も揺れて、甘く痺れる声を出して喘ぐ。  一度熱を吐き出した穂高の半身もまた硬さを取り戻し、久住の腹に当たって粘ついた蜜を零す。 「あっ、あっ……ん、や……もっと」 「イヤなの? それとももっと?」  律動しながら訊ねると穂高は恍惚とした表情で首に回した腕に力を込めた。 「もっ……と……」  理性の糸が途切れる音がした。  緩やかだった動きを速め、激しく出し入れを繰り返す。入り口付近の肌がぶつかり合う音に合わせて穂高の嬌声が響き渡る。
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