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「おい、大丈夫か? お前は人族か? こんな森にいたら危険だぞ」
厳しい声でそう言って、たくましい両腕で碧馬を立ち上がらせた。
「まだ子供なのか、家はどこだ? 家まで送ってやろう」
びっくりしすぎて何も言えずにいると、彼はいくらか表情をやわらげた。
「どうした? どこか痛むのか? どこから来た?」
「ええと、日本から…? いえ、ここはどこですか?」
碧馬の言葉を聞いた彼が眉を寄せた。
探るような目線になって、じっと碧馬を見つめた。
「お前は心話を話すのか? 口に出した言葉と一致しないな? 人族ではないのか?」
「? ごめんなさい、何を言っているのかわかりません」
「お前の言葉の意味は分かるが、口にしているのは違う言語だな」
そう言われて碧馬も相手の口を見た。
確かに口の動きと聞こえる言葉が一致していない。
というよりも彼の言葉は耳ではなく、直接頭の中に語りかけてきているように感じる。耳で聞いているのではないのだ。
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