いつまでもここにいて

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 連れて行かれた自警団本部では、チュニックと下ばきとズボンをもらって着替え、どうにか人心地がついた。  団長のガルダを筆頭に数人に囲まれてここに来た経緯を訊かれ、碧馬は拍子抜けするくらいあっさり異世界人と認定された。 「異世界人…」  まるでラノベかゲームの世界だ。  そしてどういうわけだか碧馬の心話はリュカにしか通じず、ここの人たちが話す言葉も碧馬には通じなかった。  唯一例外がリュカだけで、彼の言葉は心話として聞こえる。  一体どうしてなのか理由はわからない。 「過去にもいたらしいな」  リュカが通訳するのに食いついた。 「そうなんですか? その人、どこにいます?」 「もう50年以上前の話だ。亡くなっている」 「亡くなった? 帰れなかったんですか?」 「そうだな」 「帰る方法はありますか?」  必死の問いに周囲の人々は困惑した表情になる。
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