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日本の一般的な高校生だった自分がどうやってここで生活したらいいんだろう。今日の食事だって泊まるところだってどうしたらいいのかわからない。
野宿したらまた襲われたりするんだろうか。
碧馬の不安を読み取ったようにリュカが申し出た。
「うーん…。とにかく言葉が通じないからな。掃除とか食堂の手伝いはできるか?」
「はい、俺にできるなら何でもします」
「じゃあひとまず言葉を学びながら、ここで雑用や手伝いをしてくれるか?」
団長のガルダがそう決めて、碧馬は自警団の住込み雑用係となった。
「ガルダ、イノマタアオバに手を出すなよ」
「どういう意味だ?」
「イノマタアオバは俺の番だ」
断言したリュカに面白そうにガルダは眉を上げた。
「どうしてそう思う?」
「なによりタトゥが出たし、心話が通じる」
心話を話せるものは少ないが、話せる場合は誰が相手でも話せるものだ。碧馬のように特定の相手にだけ通じるものではない。
そして運命の番に出会えた時に出るというタトゥが右肩に浮かんだ。自分自身でも初めて目にしたそれは馬の形をしていた。
「まだ弱いが香りもする」
微かだけれどΩのあまい香りが確かにあった。
「そうなのか?」
ガルダは驚いた顔で首を傾げた。
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