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「17歳だって? 発情期はまだなのか?」
振り向いたリュカの質問に碧馬は目を丸くした。
「発情期? 人には発情期はないでしょう?」
「発情期がない? まだということか」
「まだっていうか、人の発情期はないっていうか。…ある意味いつでも発情期?」
困惑した返事に、リュカはしばらく考えた。
「もしかして、アオバは自分の性を知らないのか?」
「は? 俺は男だけど」
「それは知ってる。第2の性だ」
「?」
「お前はΩだろう?」
「それ何ですか?」
「…Ωの自覚がないのか」
「えーと、なんの話?」
リュカがこの世界には男女以外に第2の性、α、β、Ωの3種があり、アオバがΩ男性であることを告げるときょとんとしていた。
「それで、俺がΩだとどうなるの?」
第2の性などと言われてもまったく理解できない戸惑った様子だ。
「発情期が来るとΩ男性は抑制剤を飲まなきゃならない」
「抑制剤?」
「発情すると理性で抑えるのが難しいんだ」
「……?」
どういう意味なのか全くつかめていない顔を見て、リュカは一旦それ以上説明するのを諦めた。
一目見たときから碧馬が自分の番であることは気づいたが、碧馬にはその意識もなく、それどころか自分の性すらわかっていない。
碧馬がどういう世界で育ったのか知らないが、あまり動揺させるのはよくないだろう。そう判断したのだった。
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