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無理強いされるってレイプって意味だよな?
男にレイプ?
でも昨日そうなりかけた。
ここではそれもありなのか?
いや、そんなことより番だの妊娠だの、一体何の話なんだ?
碧馬は眉を寄せて低い声を出した。
「あのさ、俺は男だよ?」
「ああ」
「妊娠なんかできるわけないよね?」
「Ω男性は妊娠できる。少なくともこの世界では」
リュカの返事に呆然とする。
ぐらりと眩暈がしそうだ。
「ともかく、そういう訳だから、これを着けていてくれるか?」
とても納得できる話ではなかったが、横で話を聞いていたガルダまでもが、絶対に必要だと言い張ったので、釈然としないながらもそのお守りだという首輪を着けてもらった。
「これにはケンタウルスの魔力が溶かし込んである。そう容易には噛みきれないから、心配するな」
何をどう心配したらいいのかも理解できないまま、碧馬は心もとなくうなずいた。色々な常識があまりに違いすぎて、どう受け止めたらいいのかわからなかった。
二人のいう事を鵜呑みにしたわけではない。碧馬は自分がΩだとか発情期があるとか妊娠できるとか、実はこれっぽっちも信じていなかった。
ただ昨日、実際に熊族の男に襲われたし、ここの習慣や考え方なら尊重したほうがいいだろうと思ってうなずいただけだった。
レイプはまだしも、男同士で番になって結婚、妊娠…?
そんなこと、できるわけないって。
碧馬の常識を遥かに超えた世界観だ。
頭を抱えてため息をつく。
リュカはお守りを着けた碧馬に満足そうに見つめて微笑みかけた。
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