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日々は穏やかに過ぎて行った。
碧馬は掃除や食堂の手伝い、畑や馬の世話などを任され、その合間に文字やここでの習慣を教えてもらい、徐々にここの生活になじんでいった。
人懐こい碧馬は普通の日常会話ならできるようになるまで、それほどかからなかった。自警団には森で起こる様々な事件が持ち込まれ、いつも忙しい。
もともと明るく前向きで人の役に立つことが嬉しいという性格の碧馬だから、自警団の雑用をあれこれ頼まれても全く苦痛ではなかった。
食堂や事務所で話をするうちに顔見知りになって色々と話しかけてくれる人も徐々に増えて行った。そうするとますます会話も上達していった。
何よりリュカが毎日顔を見に来てくれることが、とても励みになっていた。新しい言葉や習慣を覚えるたびに碧馬を褒めてくれる。いつも励ましてくれる。
そんな毎日の中でも時おり日本を思い出して、寂しくなって馬屋で一人こっそり泣いていたら抱きしめて側にいてくれた。
いつの間にか碧馬はリュカが来てくれるのを楽しみにするようになった。
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